年を取ると少しくらい血圧が高くてもいいって聞いたことあるんですが?
これはご高齢の患者さんからよく聞かれる質問です。
- 「多少血圧が高いくらいの方が調子がいい」
- 「年齢+90くらいまでは大丈夫」
ということもおっしゃる患者さんもおられますが、実際に研究結果を元にしたガイドラインではいくつくらいを目標にするべきとされているのか、解説していきます。
75才以上の降圧目標
最初に結論から言ってしまうと、
A . 75才以上の高齢者での降圧目標は忍容性があれば収縮期血圧140未満を目標とすること、がガイドランで推奨されています。
より若い年齢では130未満が目標となるので、それよりは少し高い目標になります。
ですが、「150-160くらいでも大丈夫」と誤解されている方が時々おられるので注意が必要です。
実際に75才以上の高血圧の方を対象とした研究で、140未満を目標に治療した人たちと、150未満を目標にした人たちを比べると、140未満を目標とした人たちの方が死亡率が低かったという結果が出ています。
ですので、収縮期血圧140以上の血圧が続いていれば生活習慣の改善や血圧の薬を増やすなどの対応が必要となります。
忍容性とは
ガイドラインの文言に「忍容性があれば」という条件がついています。
この忍容性とは、薬を飲むことによる副作用などが大きな問題とならなければという意味になります。
また、人によっては実際に血圧を下げることでふらつきやめまいなどの症状が出ることもありえます。
それらが許容できるようであれば140未満を目指した方がメリットがあります、という意味になります。
さらに低い血圧を目標にする必要はあるか?
ガイドラインで強い推奨はされていませんが、
以下の病気がある場合に収縮期血圧130未満を目標とすることが提案されています。
- 慢性腎臓病
- 糖尿病
- 脳卒中
これらの病気がある場合に収縮期血圧130未満を目標とすることで、明確なメリットがあることを示した研究結果は無いものの、専門家による見解として130未満を目標としても良いかも、という提案になります。
まとめ
75才以上の高齢者での降圧目標は、
収縮期血圧140未満とすることが推奨されています。
ただし、薬の副作用や血圧が下がったことによる体調不良などが問題とならない場合です。
そして慢性腎臓病や糖尿病、脳卒中などの病気がある場合にはより低い130未満を目標とすることも提案されています。