高血圧の薬を飲み始めたら、一生飲み続けなければいけない?

「最近血圧が高いのが気になっているけど、高血圧の薬って飲みはじめたら一生続けなきゃいけないのかな?」

こんな疑問を感じている方、そしてそれを理由に
なんとなく病院を受診せずにいる方に向けた記事です。

高血圧の薬は一生飲み続けなければいけないのか?

まず最初に結論です。

高血圧の薬は結果として一生飲み続けなければいけない人も多いですが、
中にはやめることができる人もいる。

ということになります。

結局どっちなの?
と思われるかもしれませんが、それを説明するにあたって高血圧の原因について解説していきます。

高血圧の原因は大きく分けると3つです。

  1. 遺伝、体質、加齢によるもの
  2. 生活習慣によるもの(アルコール、運動不足、睡眠不足、塩分、肥満など)
  3. 別の病気によるもの(腎疾患、内分泌疾患、睡眠時無呼吸症候群など)

これらのうち、2と3については原因を改善することで高血圧の薬が不要となる場合があります。

最初は血圧の薬が必要だったけれど、アルコールを減らす、運動する習慣をつける、ダイエットをするなど生活習慣の改善で血圧が十分下がれば薬を減らせる、場合によっては薬が不要になる可能性もありえます。

一方で1の「遺伝、体質、加齢によるもの」は、原因を取り除くことはできないので基本的には薬を飲み続ける必要があります。

また、1と2(体質と生活習慣)が組み合わさって血圧が高いという人も多いので、結果として薬は減らせるものの、完全にやめるのは難しいという場合は多いです。

血圧の薬を飲み続けることのメリット

「なんだ、やっぱり薬を飲み続けなければいけない可能性が高いのか」

とがっかりして、ついつい受診の足が遠のくかもしれませんが、

血圧が高い状態を放置してしまい、例えば心筋梗塞や心不全などの心臓の病気を発症してしまうと、血圧の薬だけでなくさらに多くの種類の薬を一生飲み続けなければならなくなります(一度大きな病気になってしまうと薬を止める事がより危険になります)。

なので血圧の薬1−2種類を飲んで大きな病気を予防できるのであれば、むしろ飲み続けた方が結果的に負担が少なく済む、と考えることもできます。

いったん血圧の薬をやめることができても定期的な通院をおすすめします

生活習慣を改善することでいったん血圧の薬をやめることできても、血圧の定期的な測定と数ヶ月に1回程度の通院は継続することをおすすめします。

生活習慣の改善は続けなければまた血圧が上がってしまいます。

また加齢とともに血圧は上昇していくものなので、一度薬をやめることができても、通院までやめてしまうと実は血圧が再び上がってきているのに気づけません。

救急外来で血圧が高い心不全の患者さんの診療をしていて、

「血圧がいったん下がって薬も飲まなくて良くなったから、通院もしなくなった」

という方が時々おられ、

(定期的に通院していれば、血圧が再上昇しているのに気づけて救急搬送が必要な状態にはならなかったのでは)

と感じる事があります。

薬が不要な状態で毎月受診する必要はありませんが、自宅での血圧測定を継続し、数ヶ月〜半年に一度は通院して診察を受けることをおすすめします。

まとめ

「高血圧の薬は一生飲み続けなければいけないの?」
の答えは

高血圧の薬は結果として一生飲み続けなければいけない人も多いですが、
中にはやめることができる人もいる

というややあいまいなものですが、

生活習慣の改善や原因の治療によって薬が不要になる人もいるのは事実です。

薬を飲みたくないから放置する、いったん良くなったから通院を全くしなくなる、というのは危険です。

「血圧が高いけれどまだ受診できていない」という方は早めの受診をお願いいたします。

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