糖尿病治療薬の解説第2回目は「SGLT2阻害薬」です。
SGLT2? 阻害?なんかむずかしそう・・・
名前は少し複雑ですけれど、できるだけシンプルに解説するので大丈夫です。
SGLT2阻害薬とは
SGLT2阻害薬の仕組みを簡単に説明すると
「血液中の糖を腎臓から排泄させる薬」です。
糖が体から出ていくので結果として血糖値が下がる、というとてもシンプルな仕組みです。
商品名で言うとフォシーガ、ジャディアンス、スーグラといったものがあり、日本では6種類ほど発売されています。
SGLT2阻害薬のメリット
- 単独で低血糖を起こしにくい
- 糖尿病だけでなく、心不全や腎不全にも効果がある
SGLT2阻害薬は血糖値を下げるホルモンであるインスリンを介さずに血糖を下げます。
余分な糖を尿から排泄するだけなので、基本的には血糖が下がりすぎることは少ないとされています。
また、糖尿病以外にも心不全や腎不全などにも効果があることがわかってきており、糖尿病以外の病気にも処方される機会が増えています。
SGLT2阻害薬のデメリット
- 尿路感染症、性感染症になりやすくなる
- 腎不全、透析中の人は使えない
- 体重減少がみられることがある
- ケトーシスの副作用に注意が必要
繰り返しになりますが、SGLT2阻害薬は尿から糖を排泄する薬です。
その仕組みがデメリットの原因にもなっています。
尿に糖がたくさん含まれるようになるため、細菌などの病原体が増えやすい状態となり尿路感染症や性感染症になりやすくなります。
そして尿から糖を捨てるためには、当然ある程度「尿が出る」ということが必要になります。
なので腎不全、透析の状態で尿がほぼ出ないと言う人には使うことができません。
糖が体から捨てられることで、栄養として利用できなくなるため体重減少がみられる場合があります。
若くて肥満傾向の人の場合はむしろメリットとなることもありますが、やせている高齢者では特に注意が必要になります。
ケトーシスというのは、体から糖が失われた時に脂肪が分解された時にできる”ケトン体”が体にたまった状態です。
強い倦怠感が出たり脱水の状態となり、入院で治療が必要となります。
まとめ
SGLT2阻害薬についてできるだけシンプルに解説しました。
「尿から糖を捨てる」という仕組みが特徴的で、それがメリットにもデメリットにもなっています。
糖尿病治療薬としてだけでなく心不全や腎不全にも効果があるというのも特徴で、最近内服している人が増えてきているお薬です。